CAEソリューション

振動解析の数値計算

第五回:1自由度減衰系の強制振動

今回は減衰を考慮した1自由度系の強制振動について考えていきたいと思います。

減衰を考慮した1自由度系の強制振動の図

1自由度減衰系の強制振動の運動方程式は下記になります。

1自由度減衰系の強制振動の運動方程式

式①のf(t) を調和加振力(振幅:F、角振動数:ω)とすると式②になります。

式①のf(t) を調和加振力(振幅:F、角振動数:ω)とすると式②の図

これまでと同様に上記を満足する解として下記が考えられます。

上記を満足する解

式③を微分すると

式③を微分した式

式③と式④を式②に代入すると

式③と式④を式②に代入

両辺をkで割ると、

両辺をkで割る

以前の回で算出した、Ω(不減衰固有角振動数)、Cc(臨界減衰係数)、ζ(減衰比)を式⑥に代入すると、

代入した式

ここで、第4回不減衰系強制振動の時と同様にXstと β を代入すると下式が得られます。

Xstと β を代入した式

※X/Xstのように振幅倍率として表現することで、系の応答特性を周波数比 β に対して視覚的に評価しやすくなります。
また、式⑧で得られるXは複素数であるため、物理的な振幅(変位の最大値)を求めるには、その大きさ |X| を計算する必要があります。

まず、式⑧について、分母が実数になるように分母の共役複素数を分子と分母に乗じます。

分母が実数になるように分母の共役複素数を分子と分母に乗する

式⑨を実部と虚部に分けると(a+jbの形)、下式が得られます。

式⑨を実部と虚部に分けた式

ここで、複素数 X は振幅と位相で X=|X| e のように表されます。(下図参考)
式⑩を振幅と位相で表現すると下式が得られます。

式⑩を振幅と位相で表現した式

式⑪を式③に代入すると下式となり、これが式②の解となります。
なお、実際の変位はこの式の実部を取ることで得られます。

式⑪を式③に代入すると式②の解

振幅倍率とβの関係および位相とβの関係をグラフ化すると下図のようになります。

振幅倍率とβの関係および位相とβの関係のグラフ

振幅倍率と位相差のグラフから、周波数比 β が固有値付近(β ≈ 1)になると振幅が最大となり、共振現象が顕著に現れることがわかります。また、減衰比 ζ が大きいほど振幅のピークは抑えられ、位相の変化も緩やかになります。これにより、減衰の役割が系の安定性や応答制御において重要であることが視覚的に理解できます。
今回は1自由度減衰系の強制振動について説明いたしました。次回はオイラーの公式について説明する予定です。

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