CAEソリューション

振動解析の数値計算

第一回:波の重ね合わせ

ここでは、振動解析の基本的な考え方を数回に分けて説明していきたいと思います。
まず振動という現象ですが、これは様々な場面で発生しています。
身近なところでは自動車やバイクは路面やエンジンからの振動を受けます。
また、ギターなどの弦楽器は弦を弾いて振動させることで音が発生します。
有名なところでは、タコマナローズ橋の崩壊も振動現象により引き起こされたものです。
(興味のある方は検索してみてください。)

身近な所にある振動の例

このように振動現象は身の回りに非常に多く存在していますが、振動の基本的な特性の1つに、どんなに複雑な振動波形も単純な正弦波と余弦波(sin、cos関数)の足し合わせで表現できる、というものがあります。
これは数学者フーリエ(Jean Baptiste Joseph Fourier)が「任意の関数は、三角関数の級数で表すことができる」という説を唱え、当時は証明が不十分でしたが、その後、複数の数学者によって厳密化されたものです。(下式:フーリエ級数、下図:波の重ね合わせイメージ)

フーリエ級数、波の重ね合わせイメージ

複雑な波形からは読み取ることが難しい振動の特性も単純な波形に分解することで振動の特徴を把握し易くなります。
よく振動解析について学習する際に、1自由度のバネマスモデルを用いることがありますが、これは複雑な波形も結局は単純な波形に分解できるためであり、1自由度系の振動を理解することが重要であるためです。

今回は複雑な波形も単純な波形の足し合わせで表現できることを説明しました。
次回は、1自由度のバネマスモデルの自由振動について説明する予定です。

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