CAEソリューション
振動解析の数値計算
第四回:1自由度不減衰系の強制振動
今回は下図のように1自由度不減衰系の外から加振力が加わった場合の強制振動について考えていきたいと思います。

1自由度不減衰系の強制振動の運動方程式は下記になります。

第1回「波の重ね合わせ」で説明したように、どのような波形も単純な正弦波に分解できますので、調和加振力に対する応答を求めておけば、重ね合わせによって任意の外力に対する応答を求めることができます。
そこで、式①のf(t) を調和加振力(振幅:F、角振動数:ω)とすると式②になります。

これまでと同様に上記を満足する解として下記が考えられます。

式③を微分すると

式③と式④を式②に代入すると


ここで、

という量を導入し、式⑥に代入すると下式が得られます。

ここで、Xstは系に静荷重Fを与えた時の変位となります。
式⑧において、β>1の場合、Xが負の値になりますが、実際には振幅の大きさが負になることはないため、Xを複素数の大きさ|X| と 位相φで表現すると

式⑨を式③に代入すると

となり、これが式②の解となります。
応答が加振力に対して位相φだけ遅れることがわかります。
Xが正の実数の場合φ=0°となり、加振力に遅れずに応答します。
Xが負の実数の場合φ=-180°となり、加振力に対して応答は180°遅れます。
また、式⑨を式⑧に代入すると

ここから、振幅はβの増加につれて増大し、β=1 で無限大(共振)になった後、0に近づきます。一方位相はβ<1では0、β>1では-180°、β=1で不連続に変化(反転)します。グラフで表現すると下図のようになります。

今回は1自由度不減衰系の強制振動について説明いたしました。次回は1自由度系の最後となる減衰系の強制振動について説明する予定です。
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