CAEソリューション
振動解析の数値計算
第三回:1自由度減衰系の自由振動
今回は前回無視した減衰を考慮した自由振動について考えていきたいと思います。
減衰は振動を抑制する働きを持ちますが、これは系に存在するエネルギーを散逸させていることになります。物理モデルでは下図のようにダンパーで表現され、減衰係数と速度を乗じた力として表現されます。イメージとしては物体の周囲が粘度の高い流体で満たされていると振動が止まることや、物体の速度が速いと抵抗力が大きくなることが想像できるかと思います。また、減衰係数がある値より大きくなると物体は振動せずに止まりますが、その閾値を臨界減衰係数といいます。
それでは、減衰を考慮した自由振動の解を求めていきましょう。
減衰を考慮した1自由度自由振動の運動方程式は下記式①になります。
上記は、ある関数とその関数を1回微分および2回微分したものに係数(m,c,k)を乗じた和が0になる必要があるため、これを満足する関数は下記のような複素指数関数に限定されます。
式②を微分すると
式②と式③を式①に代入すると
式④は jω に関する2次方程式ですので下記解が得られます。
ここで、CC=2mω0 , ζ=C/CC と新たに定義すると
となります。
ω0は不減衰固有角振動数、CCは臨界減衰係数、ζは減衰比と呼ばれます。
また、jωは2通りあるため、jω1,jω2として式②は下記のようになります。
式⑥には平方根があり、ζ2の値によって平方根の中身の正負が変わりますので、場合分けを見ていきましょう。
ここで、
と定義し、式⑧に代入すると、
となります。
式⑩は、実部(-σ)が減衰の速さ、虚部( jωd)が振動の速さを表現しています。
今回は減衰を考慮した1自由度バネマスダンパーモデルの自由振動について説明いたしました。次回は加振力が作用する際の強制振動について説明する予定です。
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