振動解析の数値計算 2025.02.26

1自由度減衰系の自由振動

今回は前回無視した減衰を考慮した自由振動について考えていきます。減衰は振動を抑制する働きを持ちますが、これは系に存在するエネルギーを散逸させていることになります。

今回は前回無視した減衰を考慮した自由振動について考えていきたいと思います。減衰は振動を抑制する働きを持ちますが、これは系に存在するエネルギーを散逸させていることになります。物理モデルでは下図のようにダンパーで表現され、減衰係数と速度を乗じた力として表現されます。イメージとしては物体の周囲が粘度の高い流体で満たされている状態であり、物体の速度に比例して抵抗力が大きくなることが想像できるかと思います。

減衰のある1自由度系モデル図(ばね-質量-ダンパー系)
図1 減衰を考慮した1自由度自由振動モデル(ばね-質量-ダンパー系)

それでは、減衰を考慮した自由振動の解を求めていきましょう。減衰を考慮した1自由度自由振動の運動方程式は下記式①になります。

\[ m\ddot{x}(t) + \textcolor{red}{c\dot{x}(t)} + kx(t) = 0 \qquad \cdots ① \]

上記は、ある関数とその関数を1回微分および2回微分したものに係数(m,c,k)を乗じた和が0になる必要があるため、これを満足する関数は下記のような複素指数関数に限定されます。

\[ x(t) = Xe^{i\omega t} \qquad \cdots ② \]

式②を微分すると、

\[ \dot{x}(t) = (i\omega)Xe^{i\omega t}, \quad \ddot{x}(t) = (i\omega)^{2} Xe^{i\omega t} \qquad \cdots ③ \]

式②と式③を式①に代入すると、

\[ m(i\omega)^{2} Xe^{i\omega t} + c(i\omega)Xe^{i\omega t} + kXe^{i\omega t} = 0 \]
\[ \bigl(m(i\omega)^{2} + c(i\omega) + k\bigr)Xe^{i\omega t} = 0 \]

この式が任意の時刻で常に運動を表現するためには \( Xe^{i\omega t} \neq 0 \) であり、両辺を \( Xe^{i\omega t} \) で割ると、

\[ m(i\omega)^{2} + c(i\omega) + k = 0 \qquad \cdots ④ \]

式④は \( i\omega \) に関する2次方程式となるので、解の公式より以下の解が得られます。

\[ i\omega = \dfrac{-c \pm \sqrt{c^{2} - 4mk}}{2m} \qquad \cdots ⑤ \]

ここで二次方程式の解の場合分け、すなわち平方根の中身が正、0(重解),負について考えてみると、その条件分岐は \( c^{2} \) と \( 4mk \) の大小関係で決まるため、

\[ c_C = 2\sqrt{mk} \qquad \cdots ⑥ \]

と定義します。(この \( c_C \) を臨界減衰係数と呼びます)また第二回の「減衰を考慮しない1自由度系の自由振動」で定義した固有角振動数 \( \omega = \sqrt{k/m} \) を用いて式⑥を変形すると、(今回は区別のために添え字の0を用いて \( \omega_0 = \sqrt{k/m} \) と記述し、これを不減衰固有角振動数と呼びます)

\[ c_C = 2\sqrt{mk} = 2\sqrt{m} \cdot \sqrt{m}\,\omega_0 = 2m\omega_0 \qquad \cdots ⑦ \]

さらにこの臨界減衰係数 \( c_C \) と減衰係数 \( c \) の比をとって、

\[ \zeta = \dfrac{c}{c_C} \qquad \cdots ⑧ \]

を新たに定義します。(この \( \zeta \) を減衰比と呼びます)これら式⑦、⑧を用いて式⑤を変形すると、

\[ \begin{aligned} i\omega &= -\dfrac{c}{2m} \pm \sqrt{\left(\dfrac{c}{2m}\right)^{2} - \dfrac{k}{m}} \\ &= -\dfrac{c}{c_c}\omega_0 \pm \sqrt{\left(\dfrac{c}{c_c}\omega_0\right)^{2} - \omega_0^{2}} \\ &= -\omega_0\dfrac{c}{c_c} \pm \omega_0\sqrt{\left(\dfrac{c}{c_c}\right)^{2} - 1} \\ &= -\omega_0\zeta \pm \omega_0\sqrt{\zeta^{2} - 1} \end{aligned} \qquad \cdots ⑨ \]

となります。また \( i\omega \) は±で2通りあるため、これらを \( i\omega_1, i\omega_2 \) として第二回と同様に線形結合で一般解を表すと、

\[ x(t) = X_1 e^{i\omega_1 t} + X_2 e^{i\omega_2 t} \qquad \cdots ⑩ \]

となります。

\( \zeta \lt 1 \) \( (c \lt c_c) \) の場合

式⑨の平方根の中身は負となるため、虚数を取り出し平方根の中身を正にすると

\[ \begin{aligned} i\omega_1, i\omega_2 &= -\omega_0\zeta \pm \omega_0\sqrt{\zeta^{2} - 1} \\ &= -\omega_0\zeta \pm i\omega_0\sqrt{1 - \zeta^{2}} \end{aligned} \]

ここで、

\[ \omega_d = \omega_0\sqrt{1 - \zeta^{2}} \]

と定義し、式⑨に代入すると、

\[ i\omega_1, i\omega_2 = -\omega_0\zeta \pm i\omega_d \]

式⑩にこの一般解に戻すと、

\[ \begin{aligned} x(t) &= X_1 e^{(-\omega_0\zeta + i\omega_d)t} + X_2 e^{(-\omega_0\zeta - i\omega_d)t} \\ x(t) &= e^{-\omega_0\zeta t}\bigl(X_1 e^{i\omega_d t} + X_2 e^{-i\omega_d t}\bigr) \end{aligned} \qquad \cdots ⑪ \]

となります。

式⑪は実部の大きさ(\( -\omega_0\zeta \))が減衰の速さ、虚部の大きさ(\( \omega_d \))が角振動数を表現しています。\( e^{i\omega_d t} \) がなぜ振動を表現しているのかについてはオイラーの公式について解説する際に触れたいと思います。

減衰を考慮した自由振動のグラフは下記のようになります。減衰比が大きくなるにつれ、実部の \( \sigma\,(=\omega_0\zeta) \) が大きくなり減衰が速くなる様子が分かります。また、虚部の \( \omega_d\,(=\omega_0\sqrt{1-\zeta^{2}}) \) は、\( \sqrt{1-\zeta^{2}} \) の分だけ \( \omega_0 \) と比べて振動が遅く(周期が長く)なります。

減衰自由振動の応答グラフ(減衰なし、ζ=0.2、ζ=0.5、ζ=1.0の比較)
図2 減衰自由振動の応答(減衰比の違いによる比較)

\( \zeta \geq 1 \) の場合

式⑨の平方根の中身は正(または0)とであり、明らかに \( \zeta \gt \sqrt{\zeta^{2} - 1} \) であるため

\[ \begin{aligned} i\omega_1, i\omega_2 &= -\omega_0\zeta \pm \omega_0\sqrt{\zeta^{2} - 1} \\ &= \omega_0\bigl(-\zeta \pm \sqrt{\zeta^{2} - 1}\bigr) \end{aligned} \]

式⑨は、±どちらの場合も負の実数になります。式⑩に代入すると

\[ x(t) = X_1 e^{\omega_0\textcolor{blue}{(-\zeta + \sqrt{\zeta^{2} - 1})}t} + X_2 e^{\omega_0\textcolor{blue}{(-\zeta - \sqrt{\zeta^{2} - 1})}t} \]

よって、\( x(t) \) は常に指数が負である実数の指数関数であり、時間とともに振幅が減少し、0に漸近していく無周期運動となります。またこの状態を過減衰といいます。

まとめ

今回は1自由度減衰系の自由振動について説明いたしました。次回は同じく減衰のある1自由度系における加振力が作用する際の強制振動について説明する予定です。

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