振動解析の数値計算

1自由度系の自由振動

今回は振動現象を考えるうえで一番単純化された1自由度バネマスモデルの自由振動について考えていきたいと思います。

今回は振動現象を考えるうえで一番単純化された1自由度バネマスモデルの自由振動について考えていきたいと思います。自由振動とは、最初に与えられる条件を除いて、外部からの作用を受けない状態で起きる振動のことで、例えば片側が固定されたバネの先端にある物体を引っ張り、そっと手を離した時の物体の動きを求めるイメージです。

1自由度バネマスモデルに初期変位を与えて自由振動させるイメージ

この現象を力のつり合いで表現すると、質量mによる慣性力とばね定数kによる復元力が常に釣り合うことになるので式①となります。

\[m\ddot{x}(t)+kx(t)=0 \qquad \cdots ①\]

ここで、まずはこの式について考察してみましょう。この式は時間tを独立変数とする微分方程式で、解としてはこの式を満足する関数式を導くことになります。そして、ある関数とその関数を2回微分したものに係数(m,k)を乗じた和が0になると言っています。また、係数mとkは物理量であり正の値なので、ある関数は2回微分すると元の関数の負の値になる必要があります。これらの条件を満足する解が、三角関数または複素指数関数に限定されることがわかるでしょうか?

例えば、\(x^5\)のような関数の場合、1回微分すると\(5x^4\)、2回微分すると\(20x^3\)となり元の関数と次数が異なり、和をとっても0になることはありません。一方、三角関数や複素指数関数は下記のように微分を繰り返すと同じ関数に戻る特性があります。

sin関数、cos関数、複素指数関数の微分関係と波形グラフ

このように、2回微分して元の関数の負の値になる関数は三角関数と複素指数関数以外になく、上記微分方程式の解(関数式)は必然的に三角関数や複素指数関数以外に考えられないことがわかります。なお、三角関数と複素指数関数は表現が異なるだけで本質的には同じ関数です。これは「オイラーの公式」で証明されていますので、後ほど本コラムでも取り上げたいと思います。

三角関数と複素指数関数どちらを使っても同じ解が得られますが、今回は三角関数を使って上記の微分方程式を解く流れを解説します。まず、解となる関数式について三角関数を用いて式②のように仮定します。

\[x(t)=C_1\cos\omega t+C_2\sin\omega t \qquad \cdots ②\]

sin関数とcos関数の足し合わせである理由は、数学的には「二階微分方程式の一般解には必ず2つの独立な定数を含む必要がある」ためですが、このことを物理現象の側面から考えると、図の状態において物体が振動を始めるには、

またはその両方であるため、これらを表現するためには時刻t = 0において、\(x(0)\)と\(\dot{x}(0)\)が共に0とならない式を仮定する必要があり、sin関数とcos関数をそれぞれ定数倍した2項を含んだ式を仮定する必要性が理解できると思います。(これを線形結合と呼びます)

続いて、式②を微分すると一階微分 \(\dot{x}(t)\)(速度)と二階微分 \(\ddot{x}(t)\)(加速度)は下式のようになります。

\[\dot{x}(t)=\omega\left(-C_1\sin\omega t+C_2\cos\omega t\right) \qquad \cdots ③\]
\[\ddot{x}(t)=-\omega^2\left(C_1\cos\omega t+C_2\sin\omega t\right)=-\omega^2x(t) \qquad \cdots ④\]

※2回微分すると元の関数の負の値になることが確認できます。

式④を式①に代入すると、

\[-m\omega^2x(t)+kx(t)=0\]
\[-m\omega^2+k=0\]
\[\omega=\sqrt{k/m} \qquad \cdots ⑤\]

このωを固有角振動数と呼び、さらに2πで割った数を固有振動数と呼びます。(記号としてはfが用いられます)この数値は1秒間に何回振動するかを表すもので単位は [Hz]ヘルツとなります。固有角振動数、固有振動数はそれぞれω0、ωn、f0、fnといった形で0やnといった添え字を用いて表されることが一般的です。

続いて、初期変位と初期速度をそれぞれ以下の式⑥⑦で与えると、これらを式②③に代入することで式⑧⑨を得ます。

\[x(0)=x_0 \qquad \cdots ⑥\]
\[\dot{x}(0)=v_0 \qquad \cdots ⑦\]
\[C_1=x_0 \qquad \cdots ⑧\]
\[C_2=v_0/\omega=v_0\sqrt{m/k} \qquad \cdots ⑨\]

式⑤⑧⑨を式②に戻すと

\[x(t)=x_0\cos\left(\sqrt{\frac{k}{m}}t\right)+\left(v_0\sqrt{m/k}\right)\sin\left(\sqrt{\frac{k}{m}}t\right) \qquad \cdots ⑧\]

これが質量m、ばね定数kを持つ1自由度系の自由振動の解(関数式)になります。ただし、このままでは「どんな振動をするか」が直感的にわかりにくいため、加法定理を用いて式⑧を振幅A、位相θを用いた\(x(t)=A\sin(\omega t+\theta)\)の形に変形してみます。(計算は割愛します)

\[x(t)=\sqrt{{x_0}^2+\frac{m}{k}{v_0}^2}\,\sin\left(\sqrt{\frac{k}{m}}t+\tan^{-1}\left(\sqrt{\frac{k}{m}}\frac{x_0}{v_0}\right)\right) \qquad \cdots ⑨\]

すなわち、この物体は振幅が\(\sqrt{{x_0}^2+\frac{m}{k}{v_0}^2}\)、角振動数が\(\sqrt{\frac{k}{m}}\)、位相が\(\tan^{-1}\left(\sqrt{\frac{k}{m}}\frac{x_0}{v_0}\right)\)で自由振動することがわかります。さらにこの式の定数にそれぞれ以下の値を代入して、グラフ化すると、

初期変位と初期速度から生じるsin成分、cos成分および自由振動波形
初期速度が初期変位と逆方向の場合のsin成分、cos成分および自由振動波形

以上のようになり、グラフを用いて視覚化することで、

これら3つの関係性が明確になったのではないでしょうか。

いかがでしたか?

まとめ

今回は1自由度バネマスモデルの自由振動について説明いたしました。次回は今回無視した減衰を考慮した振動現象について説明する予定です。

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