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1自由度系の自由振動

第二回:1自由度系の自由振動

今回は振動現象を考えるうえで一番単純化された1自由度バネマスモデルの自由振動について考えていきたいと思います。自由振動とは、最初に与えられる条件を除いて、外部からの作用を受けない状態で起きる振動のことで、例えば片側が固定されたバネの先端にある物体を引っ張り、そっと手を離した時の物体の動きを求めるイメージです。

自由振動の例

この現象を数式で表現しますと、下記ニュートンの運動方程式①において、外力と減衰項を無視した式②になります。

ニュートンの運動方程式①において、外力と減衰項を無視した式②

ここで、まずはこの式について考察してみましょう。
この式は時間tを独立変数とする微分方程式で、解としてはこの式を満足する関数式を導くことになります。そして、ある関数xとxを2回微分したものに係数(m,k)を乗じた和が0になると言っています。また、係数mとkは物理量で正値ですので、ある関数は2回微分すると元の関数の負値になる必要があります。
これらの条件を満足する解が、三角関数または複素指数関数に限定されることがわかるでしょうか?

例えば、x5のような関数の場合、1回微分すると5x4、2回微分すると20x3となり元の関数と次数が異なり、和をとっても0になることはありません。
一方、三角関数や複素指数関数は下記のように微分を繰り返すと同じ関数に戻る特性があります。

微分を繰り返すと三角関数や複素指数関数は同じ関数に戻る特性を表す図

このように、2回微分して元の関数の負値になる関数は三角関数と複素指数関数以外になく、上記微分方程式の解は必然的に三角関数や複素指数関数以外に考えられないことがわかります。
なお、三角関数と複素指数関数は表現が異なるだけで同じ関数です。これは「オイラーの公式」で証明されていますので、機会があれば本コラムでも紹介したいと思います。

三角関数と複素指数関数どちらを使っても同じ解が得られますが、今回は三角関数を使って上記微分方程式を解く流れを解説します。

まず、解となる関数式について三角関数を用いて式③のように仮定します。

三角関数を用いて式③

式③を微分すると速度と加速度は下式のようになります。

式③を微分した速度と加速度の式

2つの定数C1とC2は時間t = 0における変位と速度を初期条件として求めます。

2つの定数C_1とC_2は時間t = 0における変位と速度を初期条件として求めている図

式⑦を式③に代入して

式⑦を式③に代入している図

これも解なのですが、式を直感的にわかりやすくするため、下記を満たすx0とφを導入

式を直感的にわかりやすくするため、下記を満たすx_0とφを導入している図

式⑨を式⑧に代入すると

式⑨を式⑧に代入

三角関数の加法定理( cos(θ12) =cosθ1cosθ2 - sinθ1sinθ2 )を式⑩に適用すると

三角関数の加法定理( cos(θ_1+θ_2) =cosθ_1 cosθ_2-sinθ_1 sinθ_2 )を式⑩に適用

これが1自由度バネマスモデルの自由振動(式②)の解となります。
ここで、x0を振幅、ωt+φを位相といいます。
また、ωは、式⑤を式②に代入してバネマスモデルの質量と剛性から求まります。

1自由度バネマスモデルの自由振動(式②)の解

いかがでしょうか?
今回は1自由度バネマスモデルの自由振動について説明いたしました。次回は今回無視した減衰や外力を考慮した振動現象について説明する予定です。

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