CAEソリューション

有限要素法の数値計算

第5回:応力-ひずみマトリックス[D]

今回は「応力-ひずみマトリックス」について解説します。

応力-ひずみマトリックスとは、材料の力学的特性を表すマトリックスです。材料に外力が加わると、その材料は変形し、内部に応力が発生します。この関係を定量的に表現するのが応力-ひずみマトリックスです。一般的には、[D]マトリックスとも呼ばれています。(ひずみー応力マトリックスと入れ替えて言うこともあります。)
応力-ひずみマトリックスを理解する前に、ヤング率Eとポアソン比νの定義から、一般化したフックの法則を紹介します。

フックの法則は次式で表されます。

フックの法則

前回(第4回:変位-ひずみマトリックスのコラム参照)求めたひずみから応力を求めるために、①、②、③式をσx、σy、τxyについて解くと次式となります。

求めたひずみから応力を求めるために、①、②、③式をσx、σy、τxyについて解く図

④、⑤、⑥式をマトリックス表示にすると次式⑦となります。

「応力-ひずみマトリックス」

この式⑦の枠内のマトリックスを「応力-ひずみマトリックス」と呼び、[D]で表します。

[D]で表した「応力-ひずみマトリックス」の図

最終的に、任意位置の応力 { σ } は任意位置のひずみ { ε } から以下の式で求められることになります。

任意位置の応力 { σ } は任意位置のひずみ { ε } から以下の式

今回は上記のように“応力-ひずみマトリックス [D]” について紹介しました。
次回は、第4回で解説した“変位-ひずみマトリックス[B]”、今回解説した“応力-ひずみマトリックス[D]”を元に、“要素の剛性マトリックス[K]”について解説します。

次回のコラムが、この「有限要素解析の数値計算」の最終回となります。

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