有限要素法の数値計算

応力―ひずみマトリックス[D]

応力-ひずみマトリックスとは、材料の力学的特性を表すマトリックスです。一般的には、[D]マトリックスとも呼ばれています。今回はヤング率E・ポアソン比νの定義から、その導出方法を解説します。

今回は「応力-ひずみマトリックス」について解説します。

応力-ひずみマトリックスとは、材料の力学的特性を表すマトリックスです。材料に外力が加わると、その材料は変形し、内部に応力が発生します。この関係を定量的に表現するのが応力-ひずみマトリックスです。一般的には、[D]マトリックスとも呼ばれています。(ひずみー応力マトリックスと入れ替えて言うこともあります。)応力-ひずみマトリックスを理解する前に、ヤング率Eとポアソン比νの定義から、一般化したフックの法則を紹介します。

フックの法則は次式で表されます。

\[ \varepsilon_x = \frac{1}{E}\left(\sigma_x - v\,\sigma_y\right) \qquad \cdots ① \]
\[ \varepsilon_y = \frac{1}{E}\left(\sigma_y - v\,\sigma_x\right) \qquad \cdots ② \]
\[ \gamma_{xy} = \frac{1}{G}\,\tau_{xy} \qquad \cdots ③ \]

前回(第4回:変位-ひずみマトリックスのコラム参照)求めたひずみから応力を求めるために、①、②、③式を \( \sigma_x \)、\( \sigma_y \)、\( \tau_{xy} \) について解くと次式となります。

\[ \sigma_x = \frac{E}{1-v^2}\left(\varepsilon_x + v\,\varepsilon_y\right) \qquad \cdots ④ \]
\[ \sigma_y = \frac{E}{1-v^2}\left(v\,\varepsilon_x + \varepsilon_y\right) \qquad \cdots ⑤ \]
\[ \tau_{xy} = G\,\gamma_{xy} = \frac{E}{2(1+v)}\,\gamma_{xy} = \frac{E}{1-v^2}\times\frac{1-v}{2}\,\gamma_{xy} \qquad \cdots ⑥ \]

※ \( E \) : ヤング率 、 \( \nu \) : ポアソン比

④、⑤、⑥式をマトリックス表示にすると次式⑦となります。

\[ \begin{Bmatrix} \sigma_x \\ \sigma_y \\ \tau_{xy} \end{Bmatrix} = \bbox[6px, border: 2px solid #e53935]{ \frac{E}{1-v^2} \begin{bmatrix} 1 & v & 0 \\ v & 1 & 0 \\ 0 & 0 & \dfrac{1-v}{2} \end{bmatrix} } \begin{Bmatrix} \varepsilon_x \\ \varepsilon_y \\ \gamma_{xy} \end{Bmatrix} \qquad \cdots ⑦ \]

この式⑦の枠内のマトリックスを「応力ーひずみマトリックス」と呼び、[D]で表します。

\[ [D] = \frac{E}{1-v^2} \begin{bmatrix} 1 & v & 0 \\ v & 1 & 0 \\ 0 & 0 & \dfrac{1-v}{2} \end{bmatrix} \qquad \cdots ⑧ \]

最終的に、任意位置の応力 \( \{\sigma\} \) は任意位置のひずみ \( \{\varepsilon\} \) から以下の式で求められることになります。

\[ \{\sigma\} = [D]\{\varepsilon\} \qquad \cdots ⑨ \]
まとめ

今回は上記のように“応力-ひずみマトリックス[D]”について紹介しました。次回は、第4回で解説した“変位-ひずみマトリックス[B]”、今回解説した“応力-ひずみマトリックス[D]”を元に、“要素の剛性マトリックス[K]”について解説します。次回のコラムが、この「有限要素解析の数値計算」の最終回となります。

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